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Tによる減揺は有効であると判断できる。
図3.2.1-12と13は上下加速度の結果である。船側に加速度計を置いて横揺の影響も入るようになっているが、ART有無の差は顕著では無い。また、図3.2.1−14は抵抗増加の結果である。やはりART有無の差はあまり顕著ではないが、横揺固有周期付近の差が比較的大きく、横揺が波浪中抵抗増加に及ぼす影響を見いだせる。
減揺装置としては比較的一般的なARTの模型を搭載してその効果を実験的に検証した。その結果として、ARTの横揺低減効果に加え、横揺低減による抵抗増加の減少効果も検証できた。横揺においてはARTの特性である双峰型の応答特性が見られ、波長によってはART無しの場合より横揺が大きくなる場合も見られた。最近では両舷のタンクをつなぐ通水管に数個の弁を取り付け、広い周期範囲にも対応可能として、双峰型特性の応答悪化が抑えられるようなARTも実用化されており、減揺装置による横揺低減効果は大きいと考えられる。

 

3.2.4 まとめ
理論計算で得られた乗り心地改善船型の模型船を製作し、原型と共に水槽試験でその動揺特性を調査して動揺低減効果を検証した。同時にアンチローリングタンクの模型を搭載してその減揺効果も検証した。この結果は、上下加速度の低減は確認できたもののその低減量は計算値の2/3程度であった。一方減揺装置(ART)の効果は大きく、横揺は現状の装置でもかなり低減できていると推察できる結果を得た。
今回は船型要素の内、lcbとフレームラインの変更で動揺低減を実現した。しかし今回の変更量は推進性能面から見るとかなりの大きさであり、配置面からの検討も必要である。

 

 

 

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